「星占い」って、どうしてこんなに当たるの? ゲスト 鏡リュウジ


鏡リュウジさんから投げかけられる言葉は、占いの言葉なのかもしれないし、占いの言葉ではないのかもしれない。それでも、星が示してくれる言葉に耳を傾けてみることは、自分を再発見・再確認するチャンスを与えてくれる。


「なるべく役に立たない占い」を目指しているんです

鏡リュウジ
(Ryuji Kagami)
68年生まれ。京都府出身。国際基督教大学大学院修士課程修了。平安女学院大学客員教授。10歳の時にタロットカードに出会ったのをきっかけに、神秘的なものに惹かれ、占星術の世界に足を踏み入れる。高校時代には、雑誌で占いの連載を開始。西洋占星術とユング心理学を融合した心理占星術の第一人者。著訳書に『魔法の杖』(ソニー・マガジンズ)、『占いはなぜ当たるのですか』(講談社文庫)など多数。

星の言葉がきっかけで気付かなかった自分に気付く

野尻:

でも、鏡さんと僕は初対面なのに、なぜこんなにも僕の性格を言い当てることができるんですか? なぜ占いは当たるんですか?

鏡:

それがわからないんですよ。おかしな話で、間違ったデータでも当たっちゃうこともあるし(笑)。一言で言うと、不思議な偶然が時々起こることがあるってことでしょうか。ただ、自分と世界と宇宙と、つまりすべてのものが繋がりあっているという考えが、昔はあった。そして人が生まれたときの星空に、その人の世界観が凝縮されて映し出されていると信じられてきた。それが占星術の歴史なんです。占星術が蓄積してきたものの見方を利用させてもらっているといえばいいのかな。

野尻: なるほど。
鏡: 僕の立場は、心理占星術なんです。ホロスコープもね、あくまで話のとっかかりで、これを材料にお話をする。その中で、これまで気付かなかった自分に出会ってもらえたら理想的ですね。でもね、僕は「なるべく役に立たない占い」を目指しているんです。
野尻: 面白い!
鏡: たとえば、姪っ子ができたから「子供好きなんだ」と気付いたでしょ。それと同じように、占星術を通じて、自分の意識していなかった性質を発見してもらえればと思っているんです。
   
一つの言葉をいろんな角度から読み取ると、見えてくるものがある
鏡:

野尻さんが結婚式屋の仕事で成功した理由、こういうことなのかもしれない。結婚式って、昔からある伝統的な儀式ですよね。そこに古い枠組みとは違った新しいものを生み出していく性質を持った野尻さんが、自分らしさとかオリジナルという概念を持ち込んだ。でも、古い伝統をすべて壊すわけではなく、伝統性、保守性の象徴である土星がギリギリのバランスを取っている。だから「ここまでやりすぎると、結婚式じゃなくなっちゃう」ということにならずに、新しいスタイルの結婚式を生み出すことができたんじゃないかと。

野尻:

なるほど。僕がもし、天王星と水星だけしか持ってなかったら、とんでもない結婚式を作っちゃって、ビジネスにならなかったのかもしれないわけか(笑)。確かに、攻めの部分も守りの部分も、両方とも持ってる人間なんだろうなって、自分でも思います。

「自分ってこんなタイプなんじゃないかな」と、30歳過ぎてやっとわかるようになってきたんですが、それを鏡さんとの話の中で再確認させてもらった気がする。「あっ、やっぱり俺ってこういう星のもとで生まれてたから、こういう性格が形成されたんだ」って。

鏡: そう言ってもらえると、うれしいです。占いの言葉は「象徴」なんです。ひとつの言葉がたくさんの意味を持つ。例えば「結婚」という言葉。文字通りの籍を入れる意味での結婚かもしれないし、仕事との結婚かもしれないし、自分の中のもう一人の自分と融合するかもしれないし。
占いの中に現れた言葉を文字通りに受け止めるのではなく、「これは、自分にとってはどんな意味を持つのだろう」と考えると、自分自身の解釈をより深めていけると思います。
野尻:

「こうしなさい」と断定的なことを鏡さんが言わないのは、「あとは自分で考えて。どうしていくかはあなた次第」ってことなんですよね。 でも、世間でこれだけ占いが人気だってことは、みんな何かを聞きたがっているというか、不安な時代なんですね。
占いの中に現れた言葉を文字通りに受け止めるのではなく、「これは、自分にとってはどんな意味を持つのだろう」と考えると、自分自身の解釈をより深めていけると思います。

   
鏡:

今、占いは唯一残った宗教なんだと思います。

野尻:

宗教?

 
鏡: 聖なるもの。外側の視点から自分を見せてくれたり、マリオネットのように吊ってくれたりするもの。
 
野尻: 一歩ひいた視点から、自分を見せてくれるものってことなのかな。
 
自分という人間の性質を再確認させてもらった気がします
100年くらい前までは自分で人生をきめることができず信頼信徒依存心を持つしかできなかった

世界の見方はひとつじゃない占いが教えてくれること

野尻:

これだけポピュラーなのに、「占いを信じてます」とは声を大にしては言えない感じがあるのって、どうしてなんだろう。

鏡:

現代では、自分のことは自分で意志決定すべきという考え方が支配的だからでしょうね。でも僕は、信仰心で生きていくこともいいと思うんです。歴史を紐解いてみると、自分で意思決定できる「個人」が誕生したのはわずか100年くらい前の話。例えば、ギリシャ時代は「神託」がすべてを決定し、逆らうなんてことできなかった。つい100年くらい前までは、自分で人生を決めることができず、信仰心と依存心を持つしかなかったわけですから。

 
野尻: 運命とか宿命って、あるんですかね?
 
鏡: それは分からない。よく「名前を変えたら、人生が変わりました」という人がいるけれど、一度きりの人生しか送れないので、比べようがない(笑)。ただ「運命が変わったような気がする」ということなんでしょう。
 
野尻: きっと、2~3年後に「鏡さんが言っていた僕の転機ってコレか!」って思う日が来るんだろうな。プラスで迎えることができるよう、どんな局面が来ても「なにくそ」の根性で頑張ります。最後に、質問させてください。星占いが教えてくれることって何ですか?

   
鏡: 「世界の見方は一つじゃない」ってことですね。
野尻: なるほど。面白い!
鏡: 星占いが当たるってことだって、「非常識」なことでしょ? でも、非常識だってことは、常識と反する視点から物事を見ることができるってことなんです。人間は放っておくと、自分本位なものの見方しかできなくなるので、物事を複数の視点から見ることはいいことだと思いますよ。
野尻: いや~。今日一番の収穫は、占いに対する見方が変わったことですね。 今までよく知らなかったけど、本当にいろいろなことがわかるんですね。また、それをどうやって活かすかも、本人次第。僕も真面目な人間だということが再認識できたし(笑)。2~3年後に待っている次のステージが良いものになるよう、これからも頑張ります!
text : Rumi Sato

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photo: Kazuyasu Ootaka
  place: SHOTO GALLERY

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  野尻佳孝 (Yoshitaka Nojiri)
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 代表取締役社長
72年東京生まれ。大学卒業後、住友海上(当時)に入社。友達の結婚式に招かれた時、「自分の仕切る二次会の方が、断然面白い。だったら……」と、98年10月に同社を設立し、ブライダル業界に参入。たった1畳のオフィスからスタートし、ハウスウエディング市場を作り上げた


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