結婚準備室TOP > 結婚準備マニュアル > 行定勲×野尻佳孝 対談 - 結婚式屋の社長の恋愛修行 vol.3
たくさんの結婚式を手がけてきた結婚式屋の社長・野尻佳孝。33歳、独身である。その理由は……「好きな人には超シャイで、恋愛下手」(本人申告)なのだった。そこで、「愛について、この人に聞きたい」と、映画監督の行定勲さんをお招きした。
行定さんは、いつ結婚したんですか?
24歳のときです。あっさりしちゃいましたね。もう13年目。
周りと比べても、早かったでしょ。
うん、早い。でも僕は、結婚して早く家族を築き子供をもつというのもいいかなあと。映画監督なので、自分自身がいろいろなことを知りたいし、経験できることはしておきたいという気持ちもあったから。いろんな愛情の形を知っておかないと、映画を作るときに切り込んでいけないから。
結婚して何か変わりました?
うーん、結婚してみて、結婚と恋愛とは違うんだなと。恋愛だったら、お互いに「何かが違う」と思えば別れるしかないし、別れられる。一方結婚は、互いの家族までかかわってくるから、自分たちの気持ちだけでは済まなくなる。たとえ僕が他の女性を好きになっても、じゃあ、離婚しましょうとはならない。悲しむ人の数が増えるから、夫婦だけの問題じゃなくなってくる。いい意味でのリスクを背負うのが結婚なのかもしれない。
僕、経験がないからわからないんですが、いい結婚というのは、どういうものなんでしょうね。
若い頃に、ある作家夫婦が主催したガーデンパーティに行ったんです。夜になってみんなそれぞれ帰っていく。僕は近くに住んでいたから、片付けを手伝うために残っていたんだけど、ふと見たら、その夫婦が台所で並んで皿洗いをしている。ふたりでパーティの内容を考え、みんなを楽しませてもてなして、最後は夫婦で皿洗い。これって、別になんてことない光景だけど、このふたりにとっては至福の時と言えるんじゃないかなあと感じたんです。 僕は邪魔だな、と思って帰ろうとしたら、「行定くん、梨をむいたから食べていきなさい」なんて言われて、結局、リビングのソファで泊まってしまった。夫婦のいい時間を邪魔してしまったようで、いまだに気になっているんですけどね。
いいですねえ、そういうの。ふたりで皿を洗いながら、「今日はみんなが楽しんでくれてよかったね」なんて、ぽつりと言い合ったりしてね。
僕なんてまずないから、そういうの。カミさんはパーティには来ないし。
最近の趣味は、草むしりなんです。庭でガーデニングしたり、茄子を育てたりしてて。カミさんと二人で並んで草むしりをしながら、なんとなくしゃべってる。これっていいなあ、と自分でも思いますよ。普通の時間をいかに過ごすか、日常の時間をいかにして耐えるか、楽しむか。それが夫婦にとっては大事なのかもしれません。
僕も、普通の時間を一緒に過ごすことができて、それが心地よく思えるような相手が理想だな。
だから、結婚式を挙げてるときなんて、男と女としては決してゴールじゃなくて、まだまだスタート。途中なんです。僕は、浮気をしたから別れるとか、熟年離婚とか、愚かだなあと思いますよ。その先に絶対、何かがあるのに、そこまで耐えられないのかと。何のために今までふたりの時間を積み上げてきたのか、そこには何もなかったのか、と言いたくなってしまう。結婚なんて、どちらかが死ぬときにならないと、何もわからないと思う。結婚式の仕事をしていて、感じるときはない?
そういう話を聞くと、けっこうぐっと来ちゃう。恋愛もそうかもしれないけど、結婚こそ、まさに積み重ねが大事だということだね。