結婚式の招待客リストを作らなければいけない。
もちろん、私の分だけ。
直樹が40名、私が35名の予定だが、考え始めたら、誰を呼んで誰を呼ばないかの
判断が難しいことに気づいた。
女同士というのは、呼ばれた、呼ばれないで、今後の人間関係に響くからね。
新婦は、普通、まず、親友からリストアップするらしいのだが、私は、以前にあげた
“ご祝儀回収リスト”を開いた。
携帯で直樹にも、「招待客リストができた?」と聞いたら、「今、仕事中」とあっさり
切られた。
おいおい、仕事中なのは、あんただけじゃないんだよ。
私だって、事務所のパソコンで「金沢の旅特集」の“ごりの甘露煮”の原稿をチェック
している振りをしながら、リストを作っているんだよ。
デスクで鼻毛を抜いている上島竜平似のK編集長を見たら、たかだか、十一人の
この事務所の誰までを披露宴に呼ぶかという問題が重くのしかかって来た。
いっそのこと、全員、二次会だけ呼ぶか?
昔の男は、どうする?
藤川さんは、招待状を出したら来ちゃうだろうな。
だって、金屏風の前で招待客をお見送りする時、何て声を掛ければいいか、
わからないもんな。
まあ、普通は呼ばないか?
でも、ちょっと、しあわせも見せ付けたい気もする。
今更、私の美しさに気づかせて、後悔100%の顔で「おめでとう」と
言わせてやりたいぜ。
そうそう、あいつは来るんだろうな。
直樹の後輩。
あいつと一回、過ちを犯してしまったことを直樹は知らないから。
気まじい~!
女も29年も生きてりゃ、そういうこと“懺悔もの”もあるよね。
あ、あいつの家にピアス忘れて来たままだ。
結婚式の当日、持って来て貰おう。
