直樹が我が家にやって来た。
普段なら、土曜日に家になんかいない妹の陽子が、うろうろしている。
「藤川さんと結婚するかと思ってた。
サボテンとはね・・・
(陽子は直樹をこう呼ぶ。サボテンに似ていると言うのだ。
つんつんに立てた髪型は確かに、サボテンかもしれない)」
直樹の前に付き合っていた歯医者の名前を挙げるので、
「直樹の前で言うんじゃないよ」と口止めした。
陽子は、まだ、24歳なので、余裕をぶっこいている。
ムフフ・・・。
若さは、永遠ではないのだよ。
直樹は、テレビドラマのように、「お嬢さんを下さい」と言った。
次の瞬間、父親は、信じられない言葉を返した。
「娘は3歳も年上ですけど、いいんですか?」
あり得ない!
「ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします」と言えば、
それで契約成立なものを、
父親は、さらに、血迷った。
「ということは・・・・君が37歳の時に、娘は40歳、君が47歳の時に、娘は50歳、
君が57歳の時に、娘は60歳ですよ」と確認したのだ。
あほか!
商品を売るのに、改めて、欠陥であることを言うか?
しかも、売れ残り商品を・・・。
生涯、高校の教師の父親は、真面目すぎていけない。
「『金の草鞋を履いてでも、3歳年上の女房を探せ』って言うじゃない?」と、
母親が言いくるめたけど・・。
金の草鞋を履いて探すのは、1歳年上の女房だっての!
この際、3歳も1歳も、誤差の範疇だ。
結納?
その前に、婚姻届けってわけにはいかんのかね?
私は、ずっと、窓際に座っていた。
光の関係で、美しく見えるからね。
友達の結婚式があるたびに、せっせと積み立てていたご祝儀貯金を
一気に回収してやる。
「人にあげたご祝儀一覧表」