間に合った。
それが、私の正直な感想だ。
昨夜、直樹からプロポーズされた時、感動より先に
ガッツポーズを取ってしまった。
何しろ、来年の3月5日で、私は30歳になるのだ。
三十路!
それまでには、ウェディングドレスを着なければと、堅く誓っていた。
ここの所、飲んだ翌日、鏡を見るのが恐くなっていた。
顔がむくみ、肉がたるんで、顔面ブルドッグ状態になるのだ。
二の腕だって、腰まわりだって、乳だって、
重力の関係で下に落ちて来ている。
早めに、手を打たなければいけない。
2年前、友達の紹介で会った直樹は、二十代、
最後のチャンスだと自分に言い聞かせて来た。
この人を逃したら、高齢出産にまっしぐらだ。
そう思って、じわじわ真綿で首を絞めるように、
直樹に無言の圧力をかけたおかげで、遂に、念願のプロポーズをされた。
用賀のデニーズで、
『知床鶏の唐揚げみぞれ和え』
を食べながら、ふいに、直樹は言った。
「結婚しようか?」
ありきたりの言葉だったので、少し、拍子抜けしたけど、プロポーズはプロポーズだ。
気が変わらないうちに、今週、うちの両親に挨拶に来させることにした。